COLUMN

無解約返戻金型定期保険の活用術

法人においても個人においても、亡くなられた場合に必要な資金を備える生命保険としては解約返戻金がないタイプの定期保険、いわゆる「無解約返戻期型定期保険」は非常に有効活用が出来る生命保険商品の一つです。

 

幾つかの保険会社が無解約返戻金タイプの定期保険を開発し、それなりに商品競争が起きていますので、法人経営者がこの保険商品の活用方法する際のポイントについて解説を行います。

ポイント①保険料が安い

解約返戻金がないために保険料水準はかなり安く抑えられています。そのために純粋に保障を確保するという意味では、本当に使い勝手の良い商品です。

 

個人であれば、収入保障保険を活用する選択肢もありますが、法人の場合には有事の際に備えておくべき必要保障額は減らないケースが多いので、保険金額が一定な平準定期保険を活用する場面が多く、その場合には保険料が安い無解約定期は非常に使えます。

 

ポイント②解約返戻金がない

解約返戻金がないということで、保険期間途中で保障が必要な他契約者への変更や他保険へ変換するコンバージョンが簡単に出来ます。

 

法人で保障が不要になれば、不要になった契約を個人や別法人などへ契約者変更をすれば、解約返戻金はありませんから契約者変更時点での経理処理が不要なので手軽に保障の組み替えが可能です。

 

なお終身や長期平準定期の場合、無解約定期よりも保険期間は長いですが、終身や長期平準定期の弱点は無解約定期と比較して保険料が高く、そして何よりも保険金額と解約返戻金の両取りが出来ない点が最大の弱点です。

 

当然ながら長期平準定期で保険期間の短縮が出来る保険会社であれば、その時点までに積立られている責任準備金を引き出したうえで、保険金額を確保することが出来ますので、保険期間の短縮が出来る保険会社の商品は最強です。

 

ただ終身保険や期間短縮が出来ない長期平準定期の場合は、無解約返戻金型の定期保険で保障を確保しておいて、その後に終身保険へ変換した方が累計保険料はかなり少なくなります。

 

そのために個人にて、相続税納税資金や遺産分割調整資金が必要な経営者の場合は、最初から90歳満了無解約返戻金型の定期保険にしておき、現役中は事業保障を確保、勇退後は個人へ契約者変更をして継続し、状況を見て終身保険へ変換するという活用をすれば最強です。

 

ポイント③解約返戻金がない(その2)

 

法人の場合、緊急予備資金として資金の積立や内部留保を厚くすることは、安定経営においてとても重要なことですが、ここに生命保険をどう活用するか?は重要なポイントです。

 

2020年からの新型コロナウィルス感染症の拡大により、法人において資金需要が発生した際に、解約返戻金を原資に契約者借入を金利ゼロで利用された法人も多かったと聞いています。

 

契約者借入を利用した場合には、手軽に資金調達は可能になりますが、当然ながら有事の際の保険金支払時には元金+金利を差し引いて支払われることになります。さらに積立金を活用しようと解約すれば、そもそもの保障がなくなってしまいます。

 

そのために保険商品は、保障機能と積立機能をキチンと分けておいた方が無難だと思います。例えば無解約返戻金型定期保険+αの組み合わせ、このα部分の保険商品でしっかりと資金が貯まりつつ運用等によって増える事も期待出来るような組合せです。無解約返戻金型定期保険部分で必要保障額をしっかりと確保し、余剰資金で全額資産計上の積立系商品を活用する組合せは有効です。

 

実際にいろいろと試算をしましたが、無解約返戻金型の定期保険+変額保険の組合せはかなり有効です。

 

ポイント④契約時の医務査定

生命保険商品なので、契約時には各保険会社が規定をしている内容の診査が必要になります。ただこの診査による判断は保険会社によってかなり異なりますので、事前にしっかりと確認されることをオススメします。

 

そして健康状態が思わしくない場合には、保険料の割増や保険金額の一部削減などの契約条件が付く事があります。この契約条件が付いたとしても、変換や契約更新が出来る保険会社や出来ない保険会社があります。

 

さらには前述のとおり、そもそも保険会社によって健康状態に関する引受スタンスが大きく異なりますので、保険会社を変更することで契約条件が付かないケースもあり得ます。

 

まとめ

いろいろと書きましたが、無解約返戻金型の定期保険を上手に活用すれば、法人・個人において効果的な保険加入が可能になりますが、どの保険会社を活用するか?については目先の保険料で決めないことをオススメいたします。

 

 

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<文責>

株式会社FPイノベーション

代表取締役 奥田雅也

 

 

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