COLUMN

掛捨てにさせない定期保険活用術

いわゆる「掛捨て」と呼ばれる解約返戻金がない、もしくは少額な保険商品を嫌う方は一定割合でおられます。

 

「掛捨て」とは、文字通り「掛けて捨てる」ことであり、保険として一定期間は保障を確保するが、その期間が終了したら、保障も終わり掛金も戻らないタイプの保険商品です。

代表的な保険商品としては「定期保険」という一定期間だけを保障して、満期になると保障が終わり、掛金も戻らないタイプの生命保険です。

 

ですが、「掛捨て」というのは、「掛けて捨てる(終わる)」から「掛捨て」であって、「掛けて捨てない(終わらない」仕組みにすれば「掛捨て」ではないということです。

 

もう少し保険のプロっぽく説明すると、「保険が機能せず保障を提供して終わり」にするのではなく、「保障を継続させて保険を機能させて終わり」にすれば掛捨てではないですよね・・・・

 

違う表現をすると、いわゆる解約返戻金がない、もしくはわずかしかない定期保険の保障を一生涯に渡って提供できるように変容させてやれば「掛捨て」ではなくなりますよね・・・

 

このように考えると、死亡保障を確保するコストとしては、いわゆる「掛捨て」の短期定期保険や無解約返戻金型定期保険は圧倒的に保険料が安く、終身保険や長期平準定期保険は解約返戻金がある分、死亡保障を確保するコストとしては高くなりますから、死亡保障を確保するという観点では短期定期や無解約定期を上手く活用して、保障を提供し続ける仕組みを活用すれば良い訳です。

 

なおそもそも論として、経営者に死亡保障が必要なことは議論の余地はないと思います。

 

・借入金返済のため

・事業清算(継続)のため

・従業員、取引先へ迷惑を掛けないため

・経営者家族のため

・事業(医業)承継のため

・相続(税)のため

 

などなど、ある程度の死亡保障は経営者にとっては有事に対して備えておくべきテーマの一つです。

 

上記の諸目的のために必要な保障額を算定したら、「どの保険商品で保障を確保するか?」という検討になります

 

一つ試算をして見ました・・・・

 

50歳男性 保険金額1億円

 

〇A社終身保険 月払保険料250,500円(保険料払込期間は終身)

〇B社90歳定期 月払保険料127,800円(無解約タイプ)

差額保険料:122,700円

 

毎月のコストは倍近く違います・・・

 

<75歳時点>

A社累計保険料:78,156,000円

B社累計保険料:39,873,600円

差額保険料:38,282,400円

 

当然ながら、こちらも倍近く変わります。

 

ちなみにA社終身保険は、75歳時点における解約返戻金は52,577,000円で払込保険料に対する解約返戻率は67.2%です。

 

なお50歳男性の平均余命は約32年です・・・

 

その82歳時点で比較をすると・・・

 

<82歳時点>

A社累計保険料:96,192,000円

B社累計保険料:49,075,200円

となります。

 

A社の82歳時点での解約返戻金は67,875,000円です。

 

この時点で被保険者が亡くなられると、A社の場合には67,875,000円の解約返戻金を活用することなく1億円の保険金が支払われます。前述の通り保険料負担は96,192,000円をしています。

 

これに対してB社は49,075,200円の負担で1億円の保険金が入ってきます。解約返戻金のないタイプの保険ですから解約返戻金はありませんので、資金効率は圧倒的にB社の定期の方が良い事になります。

 

「掛捨て」がキライという理由でA社を選択すれば、確かに解約返戻金がありますので資金はある程度貯まっていますが、この解約返戻金を活用しようと思えば、契約を解約するか他保険へ変換することになりますので、その時点で保険金額が消滅するか減少することになります。

 

こうなりますと、当初に想定していた保障の確保が出来なくなります。

 

もちろん終身の保障を確保しているという点では意味はありますが、B社の定期保険は一定の条件を満たせば保険期間の途中で終身保険へ無診査で変換することが出来ますので、終身の保障へ切り替えておいた方が良いという時点または変換が出来る上限年齢直前に終身保険へ変換すれば最低コストで保障を確保することが出来ます。

 

必要な保障をいかに効率的に確保するか?選んで頂く生命保険商品によって大きな差が出ますので、くれぐれも慎重にご検討くださいませ。

 

 

<文責>

株式会社FPイノベーション

代表取締役 奥田雅也

 

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