COLUMN

所得税基本通達の改正に関するパブリックコメントの結果公表

6月18日に所得税基本通達の改正に関するパブリックコメントの結果について公表されています。

〇e-Govページ

 

ここに書かれている情報を整理しておきます。

・支給時資産計上額での評価について

保険契約等の時価については、「支給時解約返戻金の額」で評価することが原則ですが、解約返戻金の額が著しく低いと認められる期間(以下「低解約返戻期間」といいます。)においては、第三者との通常の取引において低い解約返戻金の額で名義変更等を行うことは想定されないことから、「支給時解約返戻金の額」で評価することは適当でないと考えます。

法人税基本通達では、法人が最高解約返戻率の高い保険契約等を締結している場合には、支払保険料の一部を資産に計上する取扱いがあります。本取扱いによる資産計上額は、各保険商品の解約返戻金の実態を精査したうえで、納税者の事務負担や計算の簡便性の観点から、最高解約返戻率に基づく一定の資産計上割合により計算した金額としたものであることから、低解約返戻期間における保険契約等の時価は「支給時資産計上額」をもって評価することが相当であり、新しい所得税基本通達の取扱いは合理性を有すると考えます。

 

(筆者解説)

名義変更時の評価は解約返戻金相当額で行うのが原則ではあるが、低解約返戻金期間中に第三者へ契約者変更するようなことはせず関係者にしか契約者変更をしないので、この場合には時価ではなく簿価で評価するのが適切であるとの判断です。

 

・保険契約の範囲

今回の見直しの対象は、法人税基本通達9-3-5の2の適用を受ける保険契約等に関する権利としていますが、法人税基本通達の他の取扱いにより保険料の一部を前払保険料に計上する「解約返戻率の低い定期保険等」及び「養老保険」などについては、保険商品の設計などを調査したうえで、見直しの要否を検討することとしています。

 

(筆者解説)
今回はあくまでもやり過ぎている「低解約返戻金型逓増定期」をターゲットにしているが、前払保険料が多い定期や第三分野保険ならびに低解約返戻金型終身等でやり過ぎているものを発見したら見直しを入れるので、くれぐれもやり過ぎないように、との注意喚起です。

 

・法人間の名義変更

改正後の所得税基本通達は、法人間の名義変更における時価の算定についても、同じ取扱いとなります。この点については、改正通達の解説で明らかにする予定です。

 

・適用時期

改正後の所得税基本通達の取扱いは、令和3年7月1日以後に行われる保険契約等に関する権利の支給について適用するとしています。したがって、改正後の新しい所得税基本通達は、通達改正後に行われる保険契約等の名義変更等について適用されることから、遡及適用には当たらないと考えています。

 

なお国税庁では、今回見直しの対象とされる保険商品の課税上の問題点等について、令和元年7月の法人税基本通達の改正時の説明会などにおいて、保険会社等に注意喚起を行っています。

 

(筆者解説)
令和元年の時に「やり過ぎるなよ」と注意喚起をしていたのに、無視してやり過ぎたから改正しただけです。


※筆者解説はあくまでも個人の見解です


なおスケジュールとしては、6月25日に新通達が発遣されて、7月1日からの適用となる様です。

 

また追加で情報が入りましたら、随時ご紹介していきますのでご参考までにどうぞ。

 

<文責>

株式会社FPイノベーション

代表取締役 奥田雅也

 

 

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