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法人生命保険に加入する際に確認すべき定款のポイント

どんな法人でも会社を運営するルールである「定款」が定められています。

 

法人を設立する際に司法書士と相談をして作成するケースが多いですが、この定款に定められいることは非常に重要なポイントになりますので、法人で生命保険に加入する際、経営者は是非とも定款の内容を確認しておくことをオススメいたします。

 

定款には商号や目的・本店所在地・発行株式数などの基本的な項目の他に、株式総会の運営方法や取締役の決定方法などが定められています。

 

経営者が生命保険加入時に必ず確認をして頂きたいのは、「代表取締役の選出方法」「報酬の決定方法」の2点です。

 

1)代表取締役の選出方法

契約者を法人、保険の対象者である被保険者を法人代表者、保険金受取人を契約者である法人として生命保険契約を締結することが一般的です。

 

この場合、被保険者である代表者が死亡すると、保険金受取人である法人が保険金請求を行うことになります。

 

ここで問題になるのが、代表者が死亡しているので新たに代表者を決めて変更の登記をしないと保険金請求は出来ません。

 

この代表取締役を選出する方法については定款に定められているのですが、「取締役会の決議により選出」する方法と「株主総会決議により選出」する方法の2つのケースがあります。

 

取締役会での決議による選出であれば、取締役同士が話し合って新代表を決めて登記をすればよいのですが、問題は株主総会決議となっている定款の場合です。

 

当然ながら株式の保有割合によって決議が出来るかどうかの問題もありますが、それ以上に深刻なのは亡くなった法人代表者が全株式を持っていた場合です。

 

亡くなった法人経営者が全株式を持っていた場合、亡くなった経営者の遺産分割協議が成立するまでの間、この株式は法定相続人が「準共有」している状態となるため、法定相続人全員で話し合いをして新代表者を決めることになります。

 

相続人同士の関係が良好で、何もなければ全く問題はありません。

 

問題になるのは、

・相続人同士の関係がこじれている

・相続発生による遺産分割でもめている

・前配偶者との間にも子供がいる

・認知している婚外子がいる

という様なケースです。

 

こういうケースの場合、スムーズに代表者変更が出来ずに死亡保険金が請求できないケースも想定されますので、くれぐれもご注意下さいませ。

 

2)報酬の決定方法

上記1)の問題をクリアーして、死亡保険金が法人に支払われたとします。

 

次に問題になるのがその受け取った死亡保険金を、配偶者ならびに親族へ「死亡退職金」として支給するケースです。この死亡退職金の支給に関して注意しておきたいケースは以下の通りです。

 

・保険金振込先口座がどの金融機関なのか?

・後継者が非親族の場合

・死亡退職金支給の決定方法は?

・役員退職慰労金規定上、死亡退職金の受取人が誰なのか?

 

特に3つ目の死亡退職金支給の決定方法は、株主総会決議と定款で定めているケースが多いので、この場合には「準共有状態」となっている相続人全員で決める必要があります。

 

この場合に、前述の通り相続人同士の関係が良好でないとすんなり決められずに死亡退職金が受け取れない可能性もあることには注意が必要です。

 

なお2つ目の後継者が非親族の場合に、受け取った死亡保険金を借入金の返済や事業の運転資金に使うために、配偶者や相続人が十分な死亡退職金を受け取ることが出来ないケースも地味に多いことは注意が必要です。

 

法人にて生命保険を検討される際には、保険会社や保険料・保険金額を決めるだけでなく、保険金請求時にキチンと保険金請求が出来て、保険金が必要な人にキチンと渡せる状況になっているかどうか?も合わせてご確認下さい。

 

もし問題がある場合には、事前に対策を行う必要がありますので、気になる方は弊社までご相談下さいませ。

 

上記以外にも、保険営業パーソンがあまり説明をしない重要なポイントは幾つかありますので、合わせてご相談下さい。

 

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<文責>

株式会社FPイノベーション

代表取締役 奥田雅也

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