COLUMN

景気のバロメーター

保険業界に入って20数年になりますが、私の中で景気のバロメーターになる保険商品があります。

 

それは損害保険商品である取引信用保険です。

 

取引信用保険は売掛債権を補償する保険で、取引先が倒産・民事再生法適用などの法的整理だけでなく、支払遅延等により貸倒損失が発生した場合に保険金が支払われる商品です。

そのため景気が良い時はこの保険に対する問い合わせや相談は一切入りませんが、景気が落ち込みはじめるとこの商品の問い合わせや依頼が入り始めます。

 

私のキャリアの中で過去最高に問い合わせがあったのは2008年9月のリーマンショック後です。

 

2008年9月以降、2年程度はこの保険に対する問い合わせと契約が相次ぎ、その後にかなり保険金支払手続きを行ったのを良く覚えています。

 

その後しばらく、この保険に対するニーズはほとんどありませんでしたが、先月あたりから少しずつ、取引信用保険の問い合わせや依頼が出始めました・・・・

 

この保険に関する問い合わせが出始めると景気が悪くなっていると実感します。

 

この取引信用保険は経営者は知っておいた方が良い保険商品の一つです。

 

この取引信用保険の概略を説明します。

 

・売掛債権に対する補償で取引先ごとに与信調査をして保険会社が補償する債権額を決定。

 

・取引先の与信状況が悪いと保険会社は補償をしない事があり、その時点で企業側は売掛債権のコントロールをする事で貸倒損失を低減することが出来る。

 

・取引信用保険の見積を取るだけである程度の信用調査が無料で出来る。

※一部保険会社は見積後に契約とならない場合、見積作成料を請求するケースあり。

 

・経営セーフティ共済(旧倒産防止共済)との違いは、あくまでも保険なので支払われる保険金は返済は不要。

※経営セーフティ共済は掛金の10倍を限度に貸倒が発生した場合、融資を受ける事が出来るが、融資なので返済が必要。

 

・1年更新の損害保険ですから掛金は全額損金処理が可能。

 

これにより、貸倒損失の平準化と予算化する事が可能になります。

 

なお破綻懸念先だけを補償する事が出来ず、基本は全取引先が対象となります。ただし、特定商品の取引先や一定額以上の売掛債権先と言うように客観的な判断が出来る条件ではセグメントが可能です。

 

B to Bの取引をしている企業で、一定額以上の売掛債権が発生する場合には、非常に有効なツールとなりますので来るべき景気悪化局面に備えて経営者はこの商品は知っておいた方が良いと思います。

 

10月より消費税が上がった事による中小零細企業の資金繰り難や相次ぐ自然災害・来年の東京オリンピック後の景気動向などを踏まえますとさらにニーズが高まりそうな予感が個人的にはしております・・・

 

<文責>

株式会社FPイノベーション

代表取締役 奥田雅也

この記事についてのお問い合わせは下記フォームよりご連絡下さい。

お問い合わせはこちら

この記事に付いているタグ