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相続対策における生命保険活用のポイント

人が亡くなった際に受け取ることができる生命保険は、相続対策に活用される場面が多い金融商品です。

相続対策における生命保険活用のポイントをまとめてみました。

 

1)早く現金化できる

相続が発生すると、金融機関の預貯金は遺産分割協議が整うまでの間は一旦凍結されます。


一応、2019年7月からは遺産分割前の相続預金について払戻ができる制度がスタートしています。詳しくは全国銀行協会が発行していますチラシをご確認下さい。


【全国銀行協会 資料】

 

ちなみにこの制度を利用して預金を引き出す場合には、

 

  • 被相続人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までの連続したもの)
  • 相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
  • 預金の払戻しを希望される方の印鑑証明書

 

という書類が必要になります。


特に「相続人全員の戸籍謄本又は全部事項証明書」を揃えるのは、場合によっては困難なケースも想定されますし、それなりに時間が掛かります。


それに対して生命保険であれば、相続発生後、保険金受取人が単独で保険会社へ請求ができますので、かなり早いタイミングで保険金を受取ることが可能です。


よく「保険金を葬式代に」と言われますが、まさに相続発生後すぐに必要となる葬儀費用を賄うには最適です。


あとは私も経験していますが、死後の整理には何かとお金が必要です。その整理を担当してくれる相続人を保険金受取人に指定しておけば
何かと助かりますし、喜んで整理をしてくれるでしょう。

 

2)相続放棄をしても保険金は受取れる

有名な昭和40年2月2日の最高裁判決で、「保険金請求権は、保険契約の効力発生と同時に相続人の固有財産となり、被保険者(兼保険契約者)の遺産より離脱しているものといわねばならない。」とされており、保険金受取人の固有財産であるため、相続放棄をしても保険金は受取ることができます。


これは借金や保証債務で悩まされている経営者とその家族にとっては、非常に大きなことですが意外とご存じない方もおられます。

 

3)納税資金&分割資金の準備ができる

当然ながら生命保険は、被保険者の死亡時に保険金が支払われる金融商品ですから、相続発生により資金が必要となる場面で多大な威力を発揮します。


その代表例が納税資金と分割資金の準備です。


被相続人が持っていた財産が現預金や金融資産で、すぐに現金化できる資産ばかりであれば何の問題もありません。


ただ自社株や不動産といったすぐに現金化ができない資産を多く持っている場合には、納税資金が作れる生命保険は絶大な効果を発揮します。そして遺産分割の場面においても生命保険は、代償交付金の原資として絶大な効果を発揮します。


納税資金においても分割資金においても、生命保険は相続財産の外からお金が入ってくるというのは非常に大きなポイントになります。

 

4)遺産分割の対象外

前述の通り生命保険金は保険金受取人の固有財産ですから、被相続人からの相続財産とは別に受取ることが可能です。


そのために被相続人が、「この子(人)にお金を渡したい」という意思を生命保険契約に託すことが可能になります。


ただし生命保険金の特別受益該当性には十分注意をしておく必要があります。


有名な平成16年10月29日の最高裁判決文から該当箇所を引用します。


保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金は、民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないと解するのが相当である。

もっとも、上記死亡保険金請求権の取得のための費用である保険料は、被相続人が生前保険者に支払ったものであり、保険契約者である被相続人の死亡により保険金受取人である相続人に死亡保険金請求権が発生することなどにかんがみると、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、同条の類推適用により,当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である。

上記特段の事情の有無については、保険金の額、この額の遺産の総額に対する比率のほか、同居の有無、被相続人の介護等に対する貢献の度合いなどの保険金受取人である相続人及び他の共同相続人と被相続人との関係、各相続人の生活実態等の諸般の事情を総合考慮して判断すべきである。


~引用終わり~


基本的に生命保険金は特別受益の持ち戻し対象ではないが、「到底是認することができないほど著しい不公平」がある場合には持ち戻しの対象になるとされています。


ですから、遺産分割の対象外財産として生命保険金を活用することは良いですが、どの程度の保険金にするかについては、特別受益該当性に考慮しておく必要があります。

 


以上、相続における生命保険活用のポイントを簡単にまとめてみました。ご参考になれば幸いです。

 

<文責>

株式会社FPイノベーション

代表取締役 奥田雅也

 

 

 

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