COLUMN

Case13:コロナ融資に備えての保険見直し

〈お客さま概要〉
業 種:建設業 
相談者:創業社長Aさん
60 代 男性 
完工高:13 億円

 

元々このAさんは、私の既契約者からの紹介でお会いし、事業が拡大していく中で借入金残高も増えているので、死亡保障を検討したいとのご相談をいただきました。

 

この検討の際にAさんの考えとしては、自分に何かあっても後継者がおり、事業は継続していくので全額借入金返済をするつもりはなく、後継者の心理的ストレスにならないレベルまで返済できればよいという考え方で保障目的の75歳満了の定期保険をお預かりした経緯があります。

 

 

今回は、新型コロナウィルス感染症の拡大により予定していた工事の多くが延期になる中、資金繰りに影響を与えないようにするために制度融資を活用して資金調達をしたのと、某県にあった工場が手狭になっていたので、拡張するために移転を検討していたところ、ちょうどよい広さの工場の売り物件が出たので、この不動産購入のために借入を行うことを進めており、さすがに保障が足りなくなりそうなので追加したいとのご意向でした。

 

ご契約をお預かりした数年前より売上も倍近く伸びており、これに比して支店も従業員数も増えており、かなり順調に事業拡大をされておられます。

 

その中で後継者のCさん(男性40代・非親族)を代表取締役社長にし、ご自身は代表権だけは残して実権を譲られました。このために今回はAさんご自身の保障だけでなくCさんの保障も追加したいとのご要望でした。

 

Aさんの希望額としてはご自身の保障を1億円・Cさんの保障を3,000万円追加を検討したいとのことでした。ご要望を受けて私の方で、各社の設計をして死亡保障確保としてD生命の定期保険10年と、死亡保障プラス積立としてE生命の長期平準定期保険99歳満了の2タイプを提示しました。

 

Aさんからは自分の保障はできるだけ保険料を安くしたいとの意向でD社の10年定期を選択されましたが、さらに保険料を抑えたいので保険期間を5年にしてくれないか?とのご意向でした。

 

Cさんの保障はCさんの役員退職金積立も兼ねるためにE社の長期平準定期で契約したいとのことで意思決定をいただき、Aさんの保険も保険期間5年で再設計し、保険料を安くしてご提案し、コチラも意思決定をいただきました。

 

そして契約手続きですが、この会社はAさんの意向により福利厚生がかなり充実しており、社員全員は年齢に関わらず毎年人間ドックを受診しているので、Cさんの診査は人間ドックの結果表を代替することで省略できました。

 

ただAさんご自身は人間ドックを受診されておらず、保険会社指定の医師による診査を受けて頂く必要がありました。かなり多忙なAさんなので診査をどこで受診して頂くかの調整は難航し、結局は出張で来阪される際に時間を取って頂き、大阪空港近くの嘱託医にて診査をさせて頂くことになりました。

 

診査当日、空港までお迎えにあがり、そのままクリニックへ移動して診査を受けていただきました。その診査後にAさんから「ちょっと血圧が高かったみたいで、ドクターから『大丈夫ですか?一度キチンと検査と診察を受けた方がよいですよ』と言われました」と苦笑いをされていました。

 

私にとっては契約が無条件成立するかどうかも心配ですが、Aさんの身体に何かがあるとB社グループ全体に大きな影響を及ぼすことも心配になり「とりあえず保険会社の査定結果を待ちますが、状況にては保険料割増等の条件が付くかも知れません。その際はまたご連絡いたしますのでよろしくお願いいたします。ただ保険云々関係なくAさんの健康状態がグループ全体に大きな影響を及ぼしますので、是非とも受診をお願いしますね」とお伝えしました。

 

Aさんを宿泊予定のホテルまでお送りする道中、私からAさんにお客さまの経営者で病気になられて経営に支障を来した事例や、保険金支払の事例などをお話し、経営者の健康管理は企業リスクマネジメントにおいても非常に重要なテーマであることをお伝えすると、Aさんは「そうですね・・・さすがにこの歳になりましたから健診を受けた方がよいかも知れませんね・・・」とおっしゃっておられました。

 

その数日後、診査をしたD生命の担当者が別の被保険者診査でAさんの診査を担当した嘱託医と会ったのでAさんの診査状況を何となく質問したところ、血圧は結構高かったらしく何度も測定しなおしたとのエピソードを聞かされたそうです。

 

私としては特別条件が付くことを覚悟していましたが、診査結果は何と無条件加入OKとの回答となり、Aさん並びに担当者へ連絡して当初の予定通りAさんはD生命の5年定期・保険金額1億円で、CさんはE生命の長期平準定期保険3,000万円でご契約をお預かりする運びとなりました。

 

この契約手続きに本社へお伺いし、Aさんならびに担当者へ無事に無条件でのご加入は喜ばしいですが、Aさんの健康状態を確認するために受診を再度強くオススメしたところ、さすがにAさんも気にされていた様子で、健診の予約を数週間後に入れたとのお話でした。

 

それを聞いてまずはホッとしたのですが、健診結果によっては治療の必要があると判断された場合、今後の保険加入は厳しくなる可能性もあるので、今回の診査が有効な期間中に追加の保障確保することを口頭でご提案いたしました。

 

これには担当者が反応し「たしかに奥田さんがおっしゃるように、今回は最低限の保障にしましたので、保障の増額を検討した方がよいのではないですか?」とAさんへ進言され、Aさんも「たしかにそうだね・・・奥田さん、5,000万円の追加を至急に提案して貰えませんか?」とのご意向を承りました。

 

帰社後すぐに設計書を作成し送付すると、すぐにAさんから返信があり「この内容で追加したいが、追加契約は今回契約したB社ではなくグループ会社の別法人を契約者にしたいので、すぐに契約手続きの手配をお願いします」と追加のご契約のご依頼をいただきました。

 

追加のご契約手続きも、Aさんと私の予定がなかなか合わず、大阪へ出張で来られるタイミングで弊社事務所へ法人印等をご持参頂いてお立ちよりいただき、ご契約手続きとなりました。

 

この際にAさんから「今回は本当にありがとうございました。無事に保険加入ができてホッとしています。ただ奥田さんから再三言われました様に、社員のためにも年齢が年齢だけに自分の健康についてこれからは気に掛けようと思います。今回の保険加入の手続きがそのきっかけになりました」と御礼を言われました。

 

後日、ご担当者へ成立報告に行ったところ、「代表のAに健康診断を受けるよう誰が言っても『俺は要らないよ』と聞く耳を持たなかったのですが、今回、奥田さんが言われたことが相当気になったようで、受診してくれることになり私もホッとしています。受診した結果がどうなるかは分かりませんが、これでAも自分のことを考えるようになると思いま
す。本当にありがとうございました」と御礼を言っていただきました。

 

保険営業という仕事は有事に備えるための準備をオススメしていますが、その有事が発生するリスクを少なくすることは本当に重要で、特に経営者の健康状態は最重要テーマであると言えます。

 

この原稿を書いている段階ではAさんの受診結果は届いていませんが、問題があれば早めに処置をして頂くことを願うばかりです。

 

<文責>

株式会社FPイノベーション

代表取締役 奥田雅也

 

 

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